ビジネス・ゲー ム 誰も教えてくれなかった女性の働き方/ベティ・L・ハラガン

 

仕事をするのはあまり好きではない。

黙々と手を動かすのは好きだが、人と協力して何かをする事が嫌だ。

でもそんな甘いこと抜かしていると生活できないので、なんとかごまかしながらやってきた。

30代。上司からのもうそろそろ人をマネジメントしろよ、というプレッシャーを感じてこの本を選んだ。

前職は女性が活躍しています!と謳ったホワイト企業に見せかけたブラック企業だった。

出産後の復帰率高いと言っても、子どもがいる社員が時短で帰る分、残った仕事を独身女性に上乗せされて成立している。

明らかに一人で捌きようがない無茶な仕事量。教育もフォローもせずに入社したばかりの新人にあたらせる。

私はその仕事量をこなせないポンコツなんだと劣等感を抱いていたが、

転職した今はいかにあの会社が異常だったのだとわかる。

この本は、今まで自分の中に言語化できずにモヤモヤしていたことに一つの答えをもたらしてくれた。

同時に、もっと早くこの本に出会えていればなあと悔しい気持ちもある。

女性だけではなく、これから社会に出て行く学生にはとても参考になる一冊だ。

 

長年企業で勤務し、ビジネスコンサルタントとして独立した著者は、

ビジネスというものが未だ男性中心のゲームであり、

女性がそのゲームの中でどう振る舞えばいいのか分からずに働いていることが問題だと言っている。

女性は能力さえあれば、「男性と同じように」認められると思い込み、

学位を取ったり難しい資格に挑戦したりする傾向にある。

しかし、このような能力主義はウソだと否定する。

本当に必要なことは、状況を判断できる力、情報を収集する力だと。

会社という場所を「国」と考える。

そこには男性という「先住民」がいて、女性は「外国人」と置き換える。

つまり私たちが真っ先にしなければならないことは、スキルの習得よりその国の言葉、ルールを知ることなのだ。

正直、私はその見えないルールについて知ろうとすら思ってこなかったので、

これまで「理不尽だな、なんで意見が通らないのだろう」といったことが起きた時、理由が全く分からなかった。

今思えば、きっとその暗黙のルールから外れていたからなのだ。

 

また、自分の働き方を考える時に、お金の感覚を磨くことが大切だという。

ビジネスとは、会社の利益を上げて、自分の収入を増やすことが目的だ。

会社からお給料をもらっているという意識ではなく、

私たちは企業活動で得た利益を分配されているという意識を持つ。

そうすれば、目の前の仕事だけではなくもっと俯瞰で仕事を見ることができる。

今後も今の会社で上手くやってけるかどうかは分からない。

でも、ゲームの仕組みとルールを知って、自分が最低限何をすべきかわかっているだけでもやりやすくなる。

 

著者も本の中でこう言っている。

 

会社とは、働く人間に対して出来るだけ少ない報酬で、

出来るだけ多くの仕事をさせることを常に考えていることをお忘れなく。

 

ぜひ笑ゥせぇるすまんの喪黒福造ボイスで再生してほしい。

 

スケルトン イン ザ クローゼット/岩本ナオ

 

この本は、岩本ナオがデビューして初の単行本。

私にとっては何回も読み返すバイブル的漫画だ。

「町でうわさの天狗の子」から入って岩本ナオファンになり、

この本に辿りついた。

タイトルになっている「スケルトンインザクローゼット」以外に、6つの短編が収録されている。

スケルトンインザクローゼットとは、「他人に見られたくない子ども」のこと。

公認会計士の試験浪人中のカンちゃんの家に、いとこの中学生野花、

弟で新人漫画家の公二がやってくる。

今年こそ試験に受からなければいけないプレッシャーと戦うカンちゃん。

親と勘当寸前の公二。

離婚したばかりの母親に放任されている野花。

本当は誰かに認められたくて居場所がほしいのに、なかなか素直になれない。

 

私がこの話の中で好きなシーンが3つある。

まず、野花が攻略サイトを見ながらゲームをするシーン。

 

15歳の女の子の口から出た「頼れるものは何でも頼るって決めてんの」という大人びた言葉は、
本当は誰かに頼りたいことの裏返しにもとれる。
ここの、人が強がる心情を漫画に置き換える作者のセンスがすごい。

次に、カンちゃんの好きな人、由美加センパイとの再会。

 

学生時代は化粧っ気のなかった由美加センパイの

「就職してから女はちょっとぐらいきれいにしてたほうが働きやすいって気づいたの」

このパワーワード。

賢い女子たちはもう感覚で気づいていたかもしれないけど、私はこれに気づくまでだいぶかかった。
新卒の頃はピンとこなかったけどさすがに何回も転職すると痛いほど身に染みた。

最後に一番好きなシーン。

公二が自分が好きな人(由美加センパイ)を、カンちゃんも好きだと気づいてしまったシーン。

あきらめようとする公二に対し、野花は「恋をつまらないものにするな」と活を入れる。

 

 

スケルトンインザクローゼットの中身だけでも十分満足するのだけど、

他の短編どれも全てが素晴らしい。

心に沈んだ胸キュンを甦らせたいのなら岩本ナオを読めと言いふらしていきたい。

厄払い

先週、実家で本厄の厄払いに行ってきた。

お寺で17年ぶりくらいに地元の同級生Yちゃんと再会して、
既に3人も子供がいるという事実に衝撃を受けた。

なにより、
3人の子育てと仕事を両立している彼女がまぶしすぎて、目を合わせることができない。
自分なんていまだに一人で生活するのに精いっぱいで、他人を考える余裕がない。
そんな半端な自分を見られることが恥ずかしい、と思ったのが正直なところだ。

5人のお坊さんが火を囲んでお経をあげている中、
護摩札を火の中にくべていく。

Yちゃんがおもむろに「そういえばさあ・・・ほら、あの時助けてもらったよね。」
と言ってきた。

何のことやらさっぱり分からず。

「制服の事件あったじゃん。」と言われ、ようやく思い出した。

Yちゃんとは家の方向が同じだったこともあり、
小中と一緒に通学する仲だった。
控えめな子だったけど、田舎だと浮いてしまうくらいスッとした美人だった。

ある日Yちゃんが体育の時間から戻った後、制服が無くなっていた。
本人はおおごとにしたくないからと言ってそのままジャージで過ごしていたけど、
私は腹を立てて探さなきゃだめだと探しにいった。
結局、学校の中をいくら探しても出てこなくて、
二人でいつもの通学路を帰っていると、道端の横で燃やされたYちゃんの制服があった。

Yちゃんは気持ち悪いから黙っといてと言ったけど、
このまま黙ってたらまた新しい制服も燃やされてしまうかもしれないからと説得し、
学校に戻って先生に報告した。
結局犯人が見つからないままお蔵入りになってしまったが、
その後制服は無くなることはなかった。

今思うと、本当はYちゃんの気持ちを考えたらおせっかいだったのかなと思う。
でも、Yちゃんはあの時の私ことを「頼もしかった」と言った。

そう言ってくれる人がいるんだったら、自分も結構捨てたもんじゃないなと思えた。