どきどきフェノメノン/森博嗣

「おっさんずラブ」ロスがひどい。

もともとラブコメは好きだったけど、こんなにハマってしまうとは思わなかった。

もう途中からコメディではなく、完全に月9だった。

こんなに満たされた気持ちになったのは久しぶりだ。

さてラブコメで思い出したのが、この本。

元々森博嗣のスカイ・クロラシリーズが大好きで、あの厭世的な雰囲気とドライな文章に夢中になった。

出版当時、あの森博嗣がラブコメを・・・!という衝撃が走ったのを覚えている。

タイトルの「フェノメノン」とは、phenomenon=現象、事象の意味。
この本は終始ドキドキという現象からブレない。

主人公の佳那は大学院のドクターコースで研究に没頭する理系女子。
研究室には、爽やか好青年である鷹野や、オタクで何を考えているのか分からない水谷という後輩男子が在籍している。
主人公を取り巻く後輩2人との恋愛模様や周りで起こるゴタゴタが、ミステリーの手法をもって描かれる。

何といっても魅力的なのは、主人公のキャラクターだ。

佳那という人物は、プライドが高く、無駄を嫌い、あらゆることを分析してしまう思考癖がある。
加えてお酒を飲むと記憶をなくす。

工学博士である著者自身が見慣れた風景なのか、自分を投影しているのかリアリティに溢れている。

佳那は自分の上司に当たる相澤准教授に恋をしている。
直接デートに誘えばいいものを、教授が好きそうな演奏会のチケットを用意し、マンションの郵便受けへチケットを投函する。
当日、変装した佳那は教授に渡したチケットの隣の席に座り、教授の隣で演奏を聴きながら同じ空間を共有するどきどきを楽しむ。

これはただのストーカーではないか。いや、押し付けてはいないからいいのか。
主人公は真面目に「恋愛」をしているのだが、どこかズレている。

そして好きな人(研究対象)以外は基本的に煩わしく、面倒なことは後回しにしてしまう様子はいっそのことすがすがしい。

ただ、このことが後から足元をすくわれることになるのだけど。

この話の素晴らしいところは、王道のラブコメに挑戦しながらも、ラストに向けて読者をあっと驚かせる仕掛けが用意されているところだ。さすがミステリ作家。

ラストは胸キュンと、なるほどが一斉にこみ上げてくる。

私は元々理系に憧れて中学までは理系大学に進むことを真剣に考えて学業に当たっていたのだが、案の定、自分の細胞には理系遺伝子が組み込まれてなかったらしい。

会社の同期で院卒の理系女子がいたので、どきどきフェノメノンを読ませ、本当に研究室ってこんな感じなのかと質問攻めにして満足したのだった。(二次元と三次元の境界を越えたいというオタクならではの行動である)

それにしても、10年くらい前から映像化を待っている。就活の時、某テレビ局のESにも書いたはずだ。
今だとキャスティングは誰が適切だろう。主人公はガッキーで、鷹野は竹内涼真、水野は窪田正孝なんてどうでしょうか。。

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