こころ朗らなれ、誰もみな/アーネスト・ヘミングウェイ(柴田元幸訳)

GW前に部屋の掃除をしていた。
以前途中で断念してしまったヘミングウェイの短編集を見つけた。

ヘミングウェイといえば、BANANA FISH。

BANANA FISHといえばヘミングウェイ。

しか頭の片隅になかった。

戦争から戻ってきた兵士、戦争のさなかの兵士たちの会話・・・ヘミングウェイの戦争体験が話しの根底に見え隠れする。

中でも「兵士の地元」の話が好きだ。

戦争を終えて故郷に戻ってきた兵士、クレブス。
しかし、彼の帰郷は遅すぎて、地元では英雄の帰還を称えるものはいなかった。

彼は、久しぶりに帰ってきた地元の女の子たちが歩くのを眺める。
漠然と女の子が欲しいと思っていたが、手に入れる為の苦労はしたくなかった。

男はまず、女なんかどうだっていいさ、女のことなんか考えやしないよ、女なんかに振り回されるもんか、と自慢する。
それから今度は、女なしじゃいられない、いつも女がいないとダメなんだ、女なしじゃ眠れないんだ、と自慢したりするのだ。
みんな嘘だ。どっちも全部嘘だ。女の子たちのことを考えない限り女の子なんて要らない。
そのことを彼は軍隊で学んだ。やがて、遅かれ早かれ必ず女の子ができる。本当に機が熟したら、かならず出来るのだ。
考える必要はない。遅かれ早かれ時は来る。そのことは軍隊で学んだ。

死と隣り合わせの戦場から地元の「日常」に戻ってきた彼の目には、あらゆる物事は厭世的に映ったのかもしれない。誰かを愛するとか、神様に祈るとか厄介としか捉えられない。

たった13ページの文章なのに、感情的ではなく、無駄がない文章。

たしかタイトルがいいなあと思って買ったんだった。短編のどれもタイトルがかっこいい。

ヘミングウェイの名作を読まずにきてしまったので、老人と海から読んでみよう。BANANA FISH読み返したくなってきた。

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