使いみちのない風景/絵:村上春樹 写真:稲越功一


村上春樹が「旅」をテーマに綴ったエッセイ。
右ページには文章、左ページには写真とバランスよく配置され、
稲越さんの写真からはどこか異国の空気が感じられる。

私は熱心なハルキストではないが、村上春樹のエッセイは好きだ。
淡々としていて、ユーモアを忘れない。
私たちが見逃してしまいがちな日常の機微も、簡単にすくい上げてしまう。

旅先で目にした風景の中で、いつでも思い出せる風景と、
全く無意識の時にふっと思い出す風景がある。

『使いみちのない風景』
それは、旅先のバスの車窓から眺めた風景の「断片的な記憶」のようなものだ。
普段は心の奥底にしまわれていて、自在に思い出すことは難しい。

でも、これらは私たちの精神と深く結びつき、
今まで見えなかった、また別な風景を見せてくれる。

私たちは何のために旅をするのか。

それは、「そこでしか見れない風景」を求めているからだ。
その場所で見たもの、食べたもの、感じたもの全てが、
生きていくための自分の糧になる。

「人生においてもっとも素晴らしいものは、
過ぎ去って、もう二度と戻ってくることのないものだから。」

旅のすばらしさがこの一文に込められている。
この本を携えて旅に出たい。あわよくば旅好きの猫を引き連れて。

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