この世界の片隅に(中)/こうの史代

戦争が徐々に生活へ迫っていく。
規制が厳しくなる中でも、笑いのこぼれる日常がある。

中巻は、周作とすずの絆が深まっていく様子が中心に描かれる。
これまですずは大らかで、どこか抜けていて天然といったキャラクターだった。

しかし、周作が過去好きだった相手・りんと出会うことで、

本当に結婚したかった人はりんで、自分は「代用品」なんじゃないか。
その嫉妬に苦しむ様子は、

何も知らない少女から一人の女性に変わる瞬間である。

ふとしたところで勘が働くところが、女性。
同性じゃなきゃこんなにリアルな感情描けないなって思った。
すずは結局周作に確かめる事はせず、過去を受け入れて胸にしまう。
それは我慢する事ではなく、周作と生きていくことを選択したすずの意志である。

りんの存在を考えて再読してみると、
すずと周作の橋の上での会話シーンは、作品全体を支えるテーマにつながってくる。

すず:「夢から覚めるとでも思うんじゃろうか」
「住む場所も仕事も苗字も変わってまだ困ることだらけじゃが
ほいでも周作さんに親切にして貰うてお友達も出来て今覚めたら面白うない」
「今のうちがほんまのうちならええ思うたんです」

周作:「過ぎた事選ばんかった道みな 覚めた夢と変わりゃせんな」
「すずさん あんたを選んだんはわしにとってたぶん最良の現実じゃ」

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